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「これです」 あかりはカウンターの上にジムを置いた。 「ふむ……」 ギムはあかりのジムを持ち上げ、全体をくまなく観察する。 「あ、あのどうでしょうか?」 ギムが眉間に皺を寄せて見ていた為、あかりは緊張していた。 もしかして出来が悪かったのか、恐る恐る聞いてみる。 ギムはジムからあかりに視線を変えて口を開いた。 「正直言って見事だと言う意外に感想がないな……」 「え?」 返された言葉にあかりは目を見開いた。 「初心者にしては丁寧に作られている。バリが一つもないのは驚いた……」 「それは京子ちゃんに言われたからです。バリはモデラーズナイフで削り落としておけって」 「あいつの言うことを馬鹿正直に実行したか……地味な奴かと思っていたが、これは技術を学べば凄いモデラーになりそうだな」 「あはは……」 誉めてるのか貶しているのかわからないが一応誉められているのだとあかりは強引に解釈する。 「そろそろ返してくれませんか、京子ちゃんの家に行きたいんで」 「む、そうか……ほら」 ギムからジムを返してもらおうとあかりが手を伸ばした。 「それ、あなたのジム?」 あかりの指がジムに触れた時。女性の声が耳に届く。 声のした方向を見ると二十代くらいでオールバックの化粧が濃い女性がこちらを見ていた。 店内には他にお客が居たようだ。 「あ、はい。そうです……昨日作ったんです」 あかりはジムを手に取ってから言った。すると女性は目を細めてジムに視線を向けてからあかりに視線を移して微笑む。 「そう。もしかしてガンプラ作るのこれが初めて?」 「はい、そうです」 「なら、『ガンプラファイト』は知ってる?」 「ガンプラ……ファイト?」
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