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「あ、ああぁあああっ!?」 悲痛な叫びを上げてあかりは粉々になったジムの元に駆け寄った。 女性は足を退け、あかりは膝を折って壊されてしまった愛機を拾い上げる。 「クスクス……」 女性は恍惚な笑みを浮かべて見下ろしていた。 彼女の笑い声が耳に届き、あかりは顔を上げる。その顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。 「酷い……何もここまで……」 「なぁに? 文句あるの。騙されるアンタの方が悪いんでしょ。むしろ感謝してほしいわねぇ……アンタの才能の無さを教えてあげたんだからさ」 そう言うと女性は腹を押さえて大声で笑い出す。 悔しかった……初めて作ったガンプラを破壊されて、京子に見せて喜ぶ顔が見たかったのにその願いは残酷にも打ち砕かれてしまった。 京子に対する申し訳なさと不用意に見知らぬ人についていった後悔で胸が押し潰されそうになる。 いっそここから逃げ出してしまおうーーーと、思ったそんな時。 「おーっす!」 ドアをバタンと勢い良く開けて京子が現れた。 「御大将から聞いたんだけど、ガンプラファイトやってんだって? あかりもとうとうやる気になってくれたんだね!」 「京子……ちゃん……」 「ちょっ! 何で泣いてんの!? って、それ……」 あかりの手にある粉々になったジムを見て涙の理由を察した京子は対戦相手とおもしき女性を睨んだ。 「それ、あんたがやったの?」 「そうよ。で、いきなり入ってきてあんた誰?」 「こいつの友達だよ」 京子はいつもと違う真剣な表情で中へ入ってきて女性の前まで歩いていくと鞄から自分のガンプラを出して突き出してきた。 「私とガンプラファイトで勝負してくんない?」
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