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「くっ……」 悔しさで唇を強く噛む。 この少女に勝負を挑んだのは店内でいた客の中で一番目立った見た目だったのと話しかけて彼女がガンプラファイトをやった事がないと知ったからだ。 「あんた本当に初心者なのっ! その強さで初心者って嘘でしょ!?」 この敗北に納得いかなかった。 あかりと同じ手口でガンプラファイトを持ち掛け、途中からなぶり殺しにしてやろうとしたが……ファイト中少女のバルバトスに『一度も攻撃が掠りもせず』負けてしまったのが不満でならない。 「本当に初心者だよ。負けたのはお姉さんに才能がなかったからじゃないの?」 少女が馬鹿にしたような笑いを浮かべて頭に血が上る。 「てんめえええええっー!」 少女に殴りかかろうと拳を固めて迫った。 「よっと!」 「ふがっ!」 軽く横に移動して避けられ、女性は転倒する。 少女はクスクス笑うと、店員に聞こえるように大きく口を開いた。 「店員さーん! この人負けた事を私のせいにして暴力ふるってきたんですけどー!」 「なっ!」 声を駆けつけた店員がこちらにやってくるのが見えた。 女性は立ち上がって少女を忌々しく睨み付ける。 「あんた……覚えてなさいよっ!」 捨て台詞を残して女性は走り去ってしまった。 すぐさま店員も後を追う。 「今時あんな台詞を言うとはね〜……さてと私もそろそろ。ん?」 出ていこうとしようとしたが、壁に貼られたポスターを見て足を止める。 「ねえ、君。これなんなの?」 近くにいた同年代の少年に聞くと先程の騒動で平然としてる少女に面食らっていたが、すぐに答えてくれた。 「ん、ああ。これね。今度やる大会の告知だよ」 「ふーん……大会ね」 少女はもう一度ポスターを眺める。 その瞳は新しい玩具を買ってもらった子供のように輝いていた。
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