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ギムが目を見開いた。社長が自分を引き戻そうとしていた等とは驚きだが、到底信じられなかった。 「ねえ、どういうことなの?」 混乱しているギムに代わってあかねが質問すると、あおばは横目で視線を寄越して口を開いた。 「彼のアイディアは素晴らしかったけど。そのまま採用すると問題が発生すると判断した父は改良して世に出そうとしたの。でも、当時の技術じゃ実現出来なくてね」 「う、うそだ。そんな話聞いてないぞ……!」 「あの時のあなたは自分のシステムが採用されないことに苛立って周りが見えてなかったのよ。父が何度も説明したのに全く聞く耳持たなかったから、頭を冷やす為に会社から遠ざけたのよ」 「あおばはこう言ってますけど?」 「……」 ギムの額から油汗が流れ出てくる。 当時社長に何かを言われていたが全く聞いていなかった……もしや、それが件の話だったのではと今更気づく。 「どうやら、心当たりがあるようですね」 「……はは。滑稽だな俺は、全て勘違いだったなんてな」 「全くですよ。こんな事を起こすなんて……反省してください」 あかねが弱くギムの頭を小突いた。
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