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Aブロック会場に着くなりあかねは驚いた様子で声を上げる。 理由は単純。シュミレーターの周辺に数人の人だかりが出来ていた。よく見ればその人だかりが京子や結衣。お馴染みのメンバーだという事がわかる。 「皆で何をやってるのかしら? 近寄ってみましょう」 「ええ」 あおばを先頭に近寄ると盛大な声が会場内へ響いてきた。 『おーっと凄い! ここまで両者全くの互角だあっ!』 それは大会のMCを勤めていた女性だった。 「え、あなた……何をしてるの?」 あかねの疑問の声にMCが目をぱちくりとさせて振り向くと、こめかみを掻いて口を開く。 「え、あ……他にも人がいたんですか、ええっとですね。突然わけわかんない事態に陥って物陰に隠れてて、それで逃げるの忘れちゃってたんですよ」 「逃げ忘れたって……じゃあ、あなたはずっとここにいたの?」 あおばに質問されるとMCは苦笑いを見せながら頷く。 「ええ、そしたらあの子達が正体不明のガンプラと戦い始めて……」 「操られていたギムさんが使ってたガンプラね……」 あおばがジト目を向けるとギムは顔を背けた。 「一部始終を見てたら、私より若い子達が頑張ってるのに大人の私が隠れてるのは恥ずかしいなって思えてきて、それで戦いが終わったら二人の女の子が決着をつけると言い出したので、私が出てきて実況を申し出たんですよ」 「そうだったの。その二人って言うのはやっぱり……」 MCの話を聞いてバトルフィールドに飛び交う二体のガンプラを見て、あかねは口角をあげた。 ◇ 宇宙空間。そこには二人以外の誰も居なく邪魔をする相手はいない。決着をつけるのに絶好の場所だ。
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