コピー
▼本文
あかねとあおばは羨ましそうに皆のファイトを眺める。 しばらく見た後。あかねは横目であおばを見た。 「ねえ、私達も後でやりましょうか」 「え?」 あおばが驚いた様子で見つめ返す。 「約束したでしょ。リハビリに付き合うって」 「そうだったわね。うん。そうしましょう……でも、その前に」 あおばはギムに視線を移した。 「ギムさん。そろそろ行きましょうか」 「……ああ」 ギムは短く返し身体を出入口の方へと向ける。 「あれ、あかり達に謝りに行かないんですか……?」 「そのつもりだったが……楽しそうにしているあいつらの邪魔をしたくない。悪いが伝言を頼まれてくれないか、済まなかったと……お前らは俺のようになるなってな」 「ギムさん……。わかりました。伝えておきます」 「ありがとう」 そう言ってギムは出入口まで歩いていく。ファイトの邪魔をしたくない……それはギムにとって弟子にしてやれる最後の気遣いだったのかもしれない。 「じゃ、私は彼を警察まで送り届けるわ。あかね。後は任せたわよ」 「うん」 あおばも出入口を目指す。ギムの隣に並びだんだん遠ざかっていく。 あかねは二人の姿が見えなくなるまで、その背中をずっと見守っていた。
スレッドへ
日間
週間
月間