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素肌に突き刺さる陽の火の光にも負けないくらい輝いた二つの目で前を向き漕いだ自転車 父に買ってもらったばっかのかっこいいやつ! いいだろ!無敵になった気分で数百円入れた小銭入れをポーチにしまい全力疾走 目的地はみんなの溜まり場 又の名を秘密基地さ ここに来れば誰かがいてそうして次第に集まってみんなでひとつの輪が出来上がる 宿題なんて後回しさ!騒げ騒げまだ終わらない今日は! 1日が長く感じるようであっという間。 そんな繰り返しさ。 記憶の歯車を進めていきます。 透けた下着に興奮と歯痒さの混合、隣にいるのは友達以上の女の子。 もし願いが叶うならば両思いになりたい。 告白したい。 付き合いたい。触れたい。手を繋ぎたい。 でも臆病な僕はもうこれ以上踏み出せないのです。みっともない故に臆病な子犬さ。 それでも良いと言い聞かせます。隣にいるだけで。 愛って時には酸っぱいですね。 今日は約束していた地元のお祭りに寄ってから帰ろうって。 1人張り切ってドンキホーテで買った安いながら吟味した香水に必要以上に吹きかけ、そしてワックスも必要以上に頭に塗る。 側から見たらチンドン屋。それでも僕からしたら最高のオシャレです。 手すら繋げぬ僕は緊張でぎこちない笑みで路地を彩る賑やかな光と出店より気になって仕方ない貴女の隣を歩きます。 2人で1本飲んだラムネ。 すんごく幸せな味でした。 中に入るビー玉に映る歪んだ2人の笑顔はフォトグラフです。 そんな思いも束の間で門限の時間を迎えます。 ばいばいまたあしたね。 と言いながら手を振る貴女。家まで送る彼氏面させてもらった僕。 ふとした時、ものすごい勢いで歯車が周り現実とリンクしました。 もう夏を迎えますがすごく虚無感が襲います。 決してコロナのせいではありません。 あんなに様々な色で彩られてた過去の夏は今となっては所々なぞることは出来ず白黒でしかありません。 いろんなことがあって今僕はひとりです。 あの時好きだった女の子は年上のヤンチャな男の子に奪われ、もっと前の仲間たちは自然消滅。 今が別に雑談する人もインターネットで知らない人とも繋がりまた、こうして文字を交えてセッションしています。 ひとりぼっちというわけではないけど永遠に心の中の世界の登場人物の僕は孤独のまま夏を迎えるでしょう。 今あの頃以上に発展した街並みにまた、お金を持ち色んなことができます。 それでもあの頃以上に心は輝かないのです。 ひとつひとつ青春というのかまたは青夏をというのかお天道様の下に照らされた僕は何もすることが浮かばずにただ猛暑を恨むばかりです。 暗くなったものは僕だけでしてそれが大人になるということなのです。 大人になる物差しは夏を基準に測ってしまえばわかりやすいです。 こんなに目立つような根底の哀愁に涙か汗かわからぬまま服を濡らします。
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