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<BR>『濡れた賽ノ目』 ☆☆ 1974年度作品。カラー、シネマスコープ・サイズ、出演、<font color="ORANGE">司美智子</FONT>、<font color="ORANGE">根津甚八</FONT>、<font color="ORANGE">山谷初男</FONT>、<font color="ORANGE">長田恵子</FONT>他、脚本、<font color="ORANGE">出口 出</FONT>(<font color="ORANGE">荒井晴彦</FONT>)、撮影、<font color="ORANGE">小水一男</FONT>、音楽、<font color="yellow">ハルオフォン</FONT>、監督、<font color="ORANGE">若松孝二</FONT>、上映時間72分。 何とも貴重な珍品と言うべきか。<font color="ORANGE">若松孝二</FONT>のピンク映画で日活で買い取り作品として公開されたが併映が傑作『{emj_ip_0740}色情めす市場』(74)であったが故、長らく忘れ去られてプリントも行方不明となっていた作品であったらしい。 <font color="ORANGE">根津甚八</FONT>の映画デビュー作、脚本の<font color="ORANGE">荒井晴彦</FONT>も実質これがデビュー作であろう。音楽の<font color="yellow">ハルオフォン</FONT>とはむろんあの<font color="ORANGE">近田春夫</FONT>率いるバンドである。 <font color="ORANGE">若松孝二</FONT>のピンク映画としては60年代のいくつかの作品のようなインパクトはないがそこそこの出来であろう。 <font color="ORANGE">根津甚八</FONT>は主役ではなく中年カップルと対比して描かれる若いカップルの男で性的な絡みはほぼない。ラスト近く何故か雪の中で恋人と絡む。 実質主役的な<font color="ORANGE">司美智子</FONT>は<font color="ORANGE">実相寺昭雄</FONT>監督のいくつかの作品で馴染みはあったがどうやら本作のすぐ後くらいで引退してしまったようだ。 いわゆるセックス・シーンをセールス・ポイントとするポルノ映画としてなら過去の政治色とバイオレンスの若松映画よりずっと丁寧に<font color="ORANGE">司美智子</FONT>の絡みをきっちりと演出しておりオープニングからいきなり5分に渡る絡みを展開している。 以降も10分から15分毎にそうしたシーンをはめ込みエロス演出では若松孝二は腕を上げたと感じさせるのだが遺憾ながら物語的に物足りない。 珍品と書いたのはタイトルの由来となっている女性の壺で振るサイコロ賭博のシーンがあるからでこの設定が全編のシリアス・タッチとそぐわない。賭博の姉さんの威厳はどうなった?こんな事は<font color="ORANGE">中野貴雄</FONT>あたりのコメディ・ポルノでやるべきでこの作品には必要なかったと思われた。 作品全体としては<font color="ORANGE">神代辰巳</FONT>作品のようなムードがありいわゆる「シラケ世代」の心情を反映した映画と言えばよいであろうか。 <font color="ORANGE">根津甚八</FONT>はすでに20代後半であったが編中「坊や」と言われるに相応しい若々しさがあった。早過ぎる逝去がやはり惜しまれる。 レンタルDVDにて鑑賞。<BR>
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