本文コピー
▼本文
現代の侍 博多湾に流れ込む樋井川沿いを歩く 幻刀斎の姿があった。 江戸の空気に慣れた幻刀斎は絞り出すように声を出す。 「肺が洗われるようだ」 幻刀斎は先刻から思案にふけっていた。 幻刀斎はかつて江戸を襲った未曾有のバイオハザードを生き延びた手練れであったが、長い太平の年月は彼から闘争という概念を消し去った。 しかし網走で藤沢が自らの過去を思い出したのと時を同じくして幻刀斎もまた自らを思い出そうとしていた。 彼ら二人は現代社会の礎を築いた志士として、またその一国の軍事力にも匹敵するあまりに強大な力を持つ者として自らに禁忌を課した。 「技を封印する」 二人は薩摩は城山に籠もり、技を封印する術を自らに掛けたのだった。 しかし 「もはや太平の世ではない」 幻刀斎は術を破ることを決意した。 フンドシ姿になり一気に樋井川に飛び込むと、あらん限りの力を出して叫んだ。 人のみならず鬼、悪魔、三千世界に蔓延る魑魅魍魎をも殺傷するために創り出した神の技。 それを解放するための呪文を。 「マカデミ〜アッサアマーッ!!」
スレッドへ
日間
週間
月間