コピー
▼本文
幸樹はぎこちない笑みを浮かべて返答した。 「頼りにしてるぜ。幸樹!」 「私達をしっかり守ってね」 「は、はい……」 先輩達に頼りにされ、もてはやれる幸樹。その光景をアーシェはたまらなそうに見ていた。 ーーーそして夜。 「……お前、何で残っちゃったの?」 真矢は呆れ顔で隣で震えているアーシェを見た。 「だ、だって……私も生徒会ですし、逃げる訳には行きませんよ」 「……変に律儀だな」 真矢は肩を竦めた。 「えっと、二組に別れる話でしたよね。私と真矢先輩。真愛先輩のチームと幸樹君とアーシェちゃんのチームでいいんですよね?」 「うん、そうだよぉ〜」 「あれ、全員で一緒に行動しないんですか?」 「当たり前だろ。別々に行動した方が幽霊見つけやすいじゃんか」 疑問に思った幸樹に真矢が応える。 「それはそうですけど……三人で大丈夫ですか?」 「平気だって、その為に先生呼んだんだから」 真矢は扉の方を見る。そこには不機嫌そうな縁の姿があった。 「お前らなぁ……あたしは肝試しに付き合ってくれる程。暇じゃないんだぞ」 「肝試しじゃないですよぉ〜」 「そうそう。これは生徒会の仕事です。もし万が一不審者がいたら先生が居てくれる方が助かります」 「ああ……まあ、そう言われちゃなぁ……」 真愛。かおるこが近寄って上目遣いで見上げながら言った。縁は生徒に頼られて満更でもない表情をする。 「じゃあ、早速行ってみよ〜」 くるりと回って気の抜けた声をあげた真愛。その言葉を合図に一同は行動を開始した。 ◇ 月明かりに照らされた夜の学園は静寂に包まれて不気味さを放っている。 ライトを持っている縁を先頭にかおるこ達は三階の渡り廊下を歩く。 「上手くいきましたね」 縁に聞こえぬようかおるこは小声で真矢と真愛に言う。二人は横目でかおるこを見て、頷いた。 実はこの組み合わせは三人が仕組んだものだった。 「ああ、後はあいつら次第だよ」 「夜の学校のシチュエーションなら、進展するよねぇ〜」 「フフ、頑張ってね。二人とも……」
スレッドへ
日間
週間
月間