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「早まるな、おまつ!」 宇宙船「世界」から藤沢の声である。 「倍撫をそんな所で使ったらどうなるか、そのくらい君には分かるはずだ」 「ハンミハンミハンミ…」 おまつの頭ではハンミハンミが止まらない。 「倍撫は宇宙空間での使用しか想定されていない、この意味がわかるね?」 藤沢は諭すように続ける。 「地球がもたない」 「博士…わたしは…」 おまつの思考回路はショート寸前である。 「おまつ!とにかく今は倍撫を停止させるんだ!」 「しょこまでよ!」 その時ミキティの声がおまつの背後で響いた。 「あにゃた、人造人間だったのね、あたしをコケにするような事言って…許しゃない!」 藤沢は焦りを隠せない。 「まずい、このままではおまつは倍撫を使用してしまう…こうなればやむを得ん。おまつを一旦セーフモードで起動し直す」 操作に取り掛かる藤沢の手をチルドレンの一人が止めた。 「パパ、それじゃあおまつはミキティに壊されちゃうよ」 「確かに!」 「おまつはミキティが放ったウイルスsydによって思考が所々フリーズしているんだ。でも起動し直す時間はない。となればあれしかないよ」 「確かに!」 おまつにミキティの魔の手が迫る。 おまつはsydの影響によって思考も動きも定まっていない。 ミキティの人工頭脳は冷静に状況を判断し、最善の策を導き出す。 「ハンミハンミでトドメを刺す」 ミキティは笑う…不気味に。 そして息を吸い込むと悪魔の呪文を唱えた。 「ハンミハンミハンミハンミ…」 その刹那、おまつの拳がミキティの突き出たアゴをしたたか打った。 「やりすぎったい!」 三間ほど後方に吹き飛んだミキティに向かい叫ぶおまつ。 これはおまつなのか?
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