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夜の地球に降り立ったZ。 宇宙船から転送される際に生じた僅かな不具合から全裸であった。 「寒し」 辺りを見渡し歩き出す。 道を曲がった所でうら若き娘に遭遇した。 その娘はZの姿を見るなり悲鳴を上げかけたが、それを制するようにZは言う。 「どんな感じだい?」 それを聞き終えた娘は、改めて悲鳴を上げて逃げ出した。 Zは店仕舞いを終えたアパレル店のドアを叩き割り進入した。 数分後、上下をデニムで統一したコーディネートで店をあとにした。 「よかろーがて」 おまつの居場所は「世界」から常に送られてきている。 ここから近い。 駐輪場に立ち寄ると小回りの効きそうな自転車にまたがった。 「そう、転がる石のように」 そう言うと尋常でない早さで走り出した。 途中、ショーウィンドウに映る自らの姿を見て立ち止まる。 ショーウィンドウに近づくとZは両手で髪を持ち上げるようにしたり、前髪の微妙なラインを整え始めた。 そうすること数時間。 すでに空は白んでいる。 「やべえ、燃料が切れる」
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