本文コピー
▼本文
例えば、 北朝鮮による全世界に向けた核の発射。 例えば、 震度10の大地震が大津波に変わるのならば。 例えば、 恐竜時代振りのメテオストライク。 例えば、 ネットライム星人が全てを壊しに来る。 平穏とか、日常とか、未来とかを生け贄にして、 全ての不幸が、明日の朝からいっぺんに来て、 生物・人類もろとも絶滅に瀕することになったなら。 そしたら、キスしようよ。 だって、そうじゃなきゃ無理だもん。 現実って、容赦なさすぎだもん。 あたしが未来を諦めるって言ったとき、 嘘は口から、本音は表情に現れたもんね。 一つの命がはっきりと散ったのに、 実感なんかちっとも沸かずに、ただ重ねた憧憬 が私の目の前から掻き出されていった。 スプーンで、がりがり、きっと立場が変われば。 思うはずだよね。身勝手で、明らかに凄惨。 でもそんな余裕、あたしにだってないんだって。 かつてない吐き気。めまい。夜眠れないの。 眠れないの。嘔吐けば祈る、祈っては嘔吐く。 すぐにいつも限界に行き着く。 点滴だって初めて刺したの。 もう何ヵ月も学校になんて行けてないんだよ。 君のお父さんがあたしのお父さんに土下座して、お金を渡してる側の君の顔に凄い痣が出来てて、みんな「それが自然」みたいな顔してて、六月になったら学校へ行けって、何も考えず高校受験にちゃんと専念してって、あの子のことは忘れてってお母さんは泣いて、スマホもお父さんが壊しちゃったりして、 「こどもができたら親になれる。」 現実に広がるのは、あたしの全てを壊した絵図。 頭のなかで【未来】が永久に叫ぶ。 ねぇ、明日で世界が終わるってことにしようよ。 先輩風吹かしてまた勉強を教えてよ。 「絶対」なんてないってことはわかってるけどさ。 精一杯汗だくになってまたエッチしようよ。 今度するときはちゃんとコンドーム付けてさ。 確かに一個しか歳は違わないけどしゃきっとしなよ。 君が買ってきてよね。君は男なんだから。 あぁ、ごめん。 あたしも君もまだ子供だったから。 だから押し付けあうのはよくないもんね。 だったらさ、また笑ってよ。もっかいここで。 素敵じゃん。傷の舐め合いみたいな存在肯定。 もうあたしはいらないからさ。人生のハイライト。 だから、またお話しようよ。また会おうよ。 会いたいよ。
スレッドへ
日間
週間
月間