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「はぁ……疲れたわ」 帰宅途中アーシェは深い溜め息を吐いた。 「お疲れ」 隣を歩く幸樹が優しく声をかけた。それを聞いたら疲れなんて無くなってしまうような感覚だ。 「幸樹もお疲れ。あなたも先輩達にしごかれてたわね」 「ああ……うん。俺は皆より弱いからな」 「そんな事ないんじゃない。私は強いと思ってるわよ、あの時守ってくれたじゃない……」 「あの時は……気が気じゃなかったんだよ」 「でも、私は嬉しかったわ。助けてくれて……今思えばあの時からあなたの事が好きになってたのかも」 「……そっか」 夕陽に染まるアーシェの笑顔、その笑顔が見たらあの時助けられて良かったと思う幸樹。 少しぎこちない動きで幸樹はアーシェの手と自分の手を重ね合わせる。 「……幸樹」 「途中までこうしていいか? 俺達は恋人同士なんだからさ……」 「……うん」 アーシェは首を前に倒す。まだ周囲には桜翠学園の生徒達が行き交っていて、二人に視線を向けている。 「皆、見てるわね」 「いいんだ。こうしておけばアーシェに変な男が寄り付いて来ないだろ?」 「あら、私に他の男が寄り付くの嫌なの?」 「当たり前だろ。彼女に見知らぬ男が寄り付いてきたら嫌だろ」 「確かにね。だったら……」 アーシェは悪戯っぽく笑うと重ねた手を解いて、幸樹の腕に抱きついた。 彼女の豊満な胸が腕に当たって変形する。 「お、おい……!」 「こうした方が恋人に見えるでしょ」 「そ、そうなんだけどさ、は、恥ずかしい」
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