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「付き合ってどれくらいになるの?」 「まだそんなに……付き合い出したのは最近なの」 「そうなんだ。出来立てホヤホヤカップルだね」 「あれ、でも、その鳴海って人……生徒会で一緒の人だよね。いつだったか街中で副会長さんと仲良く歩いているの見たよ」 友人の一言で場がシンと静まり返る。皆。瞳に怒りを宿していた。 「え、何二股かけてるってこと?」 「許せない。他の女がいるのに桜木さんに手を出すなんて……」 「打ち首じゃあっ! 今すぐ鳴海幸樹の首を取って来るのじゃあっ!」 クラスメイト達が鳴海幸樹討伐で一致団結する。 このままではまずいと感じたアーシェは、皆の注目をこちらに向ける目的で机を強く叩いた。 「違う違うっ! あの二人はバイト先が同じってだけで、そんな関係じゃないからっ!」 「え、そうなの……」 「それ、本当? 嘘ついてるんじゃないの?」 「それはないわ。私実際二人のバイト先に行って来って確認したんだから……」 「ふーん。じゃあ、何のバイトしてるの?」 「……え?」 アーシェは言葉に詰まる。 二人が漫画を描いているのは口外出来ないから、適当に言ってみたものの。それがかえって自分の首を締める結果に……。 「何、もしかして嘘なの?」 「ち、違うわよ。そう、宮瀬よ。宮瀬! 二人は洋食屋宮瀬で働いているのよ!」 咄嗟に出たのは未尋の店だった。最近行った飲食店の中で一番美味しかったからという理由で名前を上げてしまった。 「へえ、洋食屋ね。確かに副会長さん似合いそうかも」 「場所教えて、今度行ってみるから」 「あ、うん。わかった……」 誤解は解けたようだが、新たな問題が発生してしまった。 アーシェはどうしよう。と心の中で呟いた。
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