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◇ 「……ごめんなさい」 放課後。アーシェは幸樹に朝の出来事を謝る。 「昼休みの時、妙によそよそしかったのはそんな事があったのか……」 「……うん」 今日も彼の為にお弁当を作って来たのだが、楽しい時間を台無しにしたくないという気持ちがあって、中々言えないでいた。 「でも、私達の秘密をバレないようについてくれた嘘なんだよね。だったら、謝る必要はないよ」 「それに、幸樹は昔、宮瀬でバイトしてたからな。あながち間違いじゃない」 「お二人とも……ありがとうございます」 かおること真矢が優しい言葉をかけてくれる。 間違いを犯したのは自分なのに、すんなりと許してくれた先輩達の気遣いが嬉しかった。アーシェは口許を緩める。 「あぁ。そうだぁ〜。今日もこのあと特訓するからぁ〜」 「今日もですか、すいません……俺、今日は仕事の打ち合わせがあるので外してもらってもいいですか?」 「そうなんだ。それじゃ仕方ないね。行っていいよぉ。幸樹くんが出来ないなら、かおるこちゃんもかなぁ?」 真愛は視線かおるこに向けると、彼女は首を横に振った。 「いいえ、今日は幸樹君だけですよ」 「そうなのか、なら、今日はあたしとファイトやろうぜ!」 「はい!」 かおること真矢はもう最初からやる気であった。 アーシェはというと……。 「むう……」 幸樹と一緒に帰れない事に少し不満があった。仕方ないとはいえ、ちょっと寂しくなってしまうのである。
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