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その本心を伝えられないまま、時間は過ぎてしまう。 幸樹は仕事を終えると早々に生徒会室を出ていき、他の四人はガンプラファイト部の部室へと移動した。 「さて、始めましょうか!」 明日また会える。そう自分に言い聞かせてアーシェは無理に気合いを入れる。 すると真愛が……。 「アーシェちゃんは帰っていいよぉ〜」 いきなり帰れと言われてしまった。額に汗を垂らしてアーシェは真愛を見る。 「何です突然……真愛先輩が特訓やろうって言い出したんじゃないですか」 「そうなんだけどぉ。昨日アーシェちゃんの実力を見たし、今日は昨日の反省点として真矢ちゃんをしごこうかなぁ〜って」 後ろの方から真矢の「マジかよ……」という声が耳に届く。 「え、いや……でも、秋の大会に向けて特訓しないと……」 「アーシェちゃん。自分の気持ちに嘘ついちゃ駄目だよぉ〜。幸樹くんと一緒にいたいんでしょぉ〜」 「そ、それは……」 幸樹と一緒にいたいというのは本心だ。 だけれど、素直に頭を前に倒していいものかと悩む。 すると、アーシェの肩に真矢が肩を置いた。 「行ってきていいぜ。幸樹のところによ」 「え、でも……」 「昨日いい忘れたんだけどさ、お前……中々見込みあるぜ。あたしと引き分けたんだ。こりゃ相当いいファイターになるよ」 真矢が自分を評価してくれている。それを知った時にアーシェの出掛けていた言葉が喉奥に引っ込んでしまった。 「幸樹も漫画の仕事があんなら、中々こっちに付き合えないだろうからな。お前さえ良ければマンツーマンで特訓してやれよ。そうしたらきっと喜ぶぜあいつ」 「は、はい。そういう事でしたら……行きます!」 そう言う理由ならとアーシェは了承した。 「まあ、最初から幸樹君を驚かせる為にアーシェちゃんを行かせるんだけどね……」 かおるこがニヤリ、と笑った。 「そうだったんですか、先輩達ってそう言うサプライズ好きですよね……」 「まあね〜」 「嫌いじゃないからな!」 「楽しく学園生活を送るのがここの生徒会のモットーだからね!」
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