コピー
▼本文
「うわわっ! このままじゃ街が破壊されちゃう……ここは一気に接近してあたしが決めるっ」 「リンっ!」 「え?」 怜が叫んだ。その理由はサーペントが口を大きく開いたからだ。 サーペントの開かれた口から真紅に発光する光弾が発射される。 「おわぁっ!」 リンはギリギリ避ける。光弾は高速で飛んでいき、遥か後方に聳えていたスカイツリーに直撃する。 『天音さん、スカイツリーの損傷度は!』 『三十%です。まだ持ち応えられます!』 ヘッドギアから血相を変えた薫子と天音の声が聞こえてきた。 「ご、ごめん……」 「スカイツリーの強度は10年前より強化されてます。あのくらいでは倒れません。それに中にいた人も全員シェルターに避難してると報告が上がってます。どうか自分を責めないでください」 「楓……あんがと!」 リンが元気を取り戻した。 「けど、楓さん。昔より建造物の強度が上がっても、何度も攻撃を受けたら壊れちゃうよ」 建造物を守る為に怜は自らを盾にする。 十年前。世界を救った女性から放たれた光は建造物をも強化していた。 並大抵の衝撃ではヒビも入らないが、ヴァイスの攻撃を続けざまに受けていてはすぐに限界が来てしまう。 「そうですね。こうなったら……」 ヤシマで反撃をしながら、楓は覚悟を決める。 「薫子さん、聞こえますか!」 『楓さん? 何?』 「SPスキルの発動許可をお願いします」 『……っ』 薫子の息を飲む声が聞こえてくる。 数瞬。沈黙が流れたがすぐにヘッドギアから薫子の声が響いてくる。 『はい、許可します』 「ありがとうございます」 『楓、SPスキルを発動させる余裕はあるの? アンタ達は攻撃を避けるので手一杯じゃないの』 朱音に指摘される。楓達はサーペントの猛攻を回避するのに専念していて、中々反撃に移せないでいた。 「問題ありません。作戦があります」 「それって、あたし達に時間を稼げって事かな?」 「なら、さっさと行くよ」
スレッドへ
日間
週間
月間