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(何処か殺伐としたように感じるドライとも取れる言葉を耳にすれば切なげに目を細めて押し黙り、光を反射させていた刀身に滴らせた血が流れゆく様をぼんやりとした目に写して)……誰しも他人の考えてることなんざ分かりゃしねえ、俺もお前もな。正親さんも、いったい何をしたかったのか…ま、今更何を言っても過去は変えられねえが。――…それよりも、俺が使い物になると思えるならいつでも呼べ。愛刀はなくなっちまったが、お前のために奮う刀はいつでも用意しておく。(刀にとって上質の血が与えられ歓喜の波動を出す『兼光』を倉の戸袋近くに設えてあった棚の上の手拭いで綺麗に拭うと一旦鞘へと戻し、長持の上に仮置きすると己へと勧められた流れるままに放置されていた鮮血に視線を移し逡巡の後に緩く首を振って)…いや、やめておく。さっき舐めた時にも思ったが、たいして旨いもんじゃねえんだが…何て言うか、お前の血は俺には刺激が強すぎる気がする。媚薬とか酒とか、そう言うもんに似てるよ。
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