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Zとの出会いから早5年、アリ氏はおよそ3万7千年ぶりに開催が決まったノーベル賞の舞台袖にいた。 かつての居住区広場を改築した会場の内外に集まった人また人。 アナウンスが大音量で告げる。 「皆さま、お待たせいたしました!いよいよ3万7千年ぶりのノーベル文学賞および平和賞、ならびに特別歌唱賞の受賞者の発表です!」 歓声とも怒号ともつかないような人々の叫びが会場を揺らした。 そして誰ともなく「Z!O!NO!Z!O!NO!」とコールが沸き起こる。 この会再興の立役者アリ氏は先刻から慌ただしく主催側のマネージャーとやりとりをしていた。 「Zはまだか?」 アリ氏は恐る恐る舞台袖から会場の様子を伺うと言った。 「それが、まだ連絡もなにも…あっ!!」 マネージャーがそう言うと手のひらの上に映し出されたホログラム式端末に届いた文字に目を通す。 「あん?誰?Z?見せろや!」 バリったアリ氏はマネージャーの手をもげるほど自分の方にねじりその内容を見た。 そこにはこう書かれていた。 「先約があるのでいけません」 「ほぁ」 その場に崩れ落ちるアリ氏。 マネージャーは端末を一頻り操作すると言った。 「このZからのメッセージ、古代の折りたたみ式ケータイから送られてきているようです!発信元は、、、せ、世界!?」 その頃巨大宇宙船「世界」の一室で地球の様子を見下ろす二つの影があった。 「まるでゴミのようだ」 「そうだな」 「ワシらが夢見た未来とはこんなものかね」 「いいや」 「やり直しかのぅ」 「何回目だ?」 「そうさなぁ…」 その時二人の背後にもう一つの人影が現れた。 「おや、君か」 言葉を掛けられた影は答えない。 「ふむ、また君の力が必要だよ。そうさなぁ、今回の崩壊が始まったあの場所がいい。あれは確か…」 「桜島」 影は答えると部屋から出ていった。 再び二人になった一室では暫しの沈黙のあとこんな会話が続いた。 「ワシと竜ちゃんどっちにする?」 「いずれ分かるさ」 大江戸大河〜SF編〜 完 次回、大江戸大河〜黎明編〜 お楽しみに!
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