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私が部屋の隅に移動して、振り返ると、すぐ近くにVAVAさんがいた。他のみんなには背を向けている形だ。 VAVA「俺が今からすることに耐えろ」 そう告げると、VAVAさんは胸にある黄色い三角マークを指で押し込んだ。ボタンだったんだ…。 プシューっと、空気が漏れる音がする。 そして、VAVAさんは両手を使ってゆっくりと、自分のヘルメットを取り外した。 アイラ「…っ!?」 ああ、私は馬鹿だ。ちょっと考えればわかることじゃん。 彼が常にヘルメットを被る理由が、見られたくない素顔を隠すためだってことぐらい。 アイラ「ぅ……ぅぁ……!」 駄目だ、怖がったら駄目だ。悲鳴をあげたら駄目だ。 以前、ジュノさんは私を『彼が求めた自分を認めてくれる存在に限りなく近い』と言った。 今回の冒険でVAVAさんと接していくうちに、それは本当なんだと実感した。 戦うことでしか喜べず、力でしか他人を評価できず、壊すことでしか自分を表現できなかったVAVAさんにとって、私は間違いなく『例外』だ。 私だけは、私だけは絶対に彼を裏切ったら駄目なんだ。これに耐えなきゃ、VAVAさんはまた誰にも認めてもらえない、かわいそうなロボットに戻ってしまう。 それがわかっているのに――駄目だった。 アイラ「うわああああああああっ!!」 私は悲鳴をあげた。それが終わると同時に気絶した。
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