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「問題ないよ。これなら普通に受かりそうだ」 結衣は笑顔で返して、ちなつの淹れてくたお茶を一口喉に流し込む。 「はあ、何か信じられないですよね……来年の今頃には結衣先輩がいなくなってるなんて……」 来年には卒業してしまう結衣。その事は結衣を尊敬するちなつにとって耐え難い事態。卒業した後のごらく部を想像してしまうと目に涙が溜まり瞳が潤んでしまう。 「進級してから時間の流れが早く感じるよね」 「本当だよ。あっという間だったからな……もうそろそろ秋だなんて信じられないよ」 あかりと結衣はこれまでのごらく部での思い出を振り返る。 基本は部室でだらだらしたり、遊んだりしていただけだったけれど……四人にとってそれはかけがえのない思い出だ。 二人がいなくなってしまった後のごらく部はこれまで通りやっていけるのか……あかりはこれからの事に不安を胸に募らせていた。 「先輩! 無理を承知でお願いしますっ!」 ちなつは結衣の手をとって真っ直ぐに彼女の瞳を見据える。 「え? なに?」 「卒業するの止めてくださいっ!」 「そんな無茶な!?」 「それが無理ならわたし……飛び級します! あかりちゃんと二人きりなのは不安なんでっ!」 「然り気無くあかりが酷いこと言われてるっ!?」 言い寄られて困っている結衣よりあかりの方が心にナイフで心臓を突き刺されたような深い傷を負った。 何か言い返そうとしたが、入り口が開く音がしてドタドタと騒がしい足音が近づいてくる。 「おっまたせ〜!」
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