本文コピー
▼本文
ある日、この小さな小学校に転校生が来た その子は漫画から出てきたかのように幻想的だった それは10つの少年等にとっては過去にない可愛さ 傷一つない赤いランドセルと青い髪飾りや 少し大人びた顔立ちがまた清廉さを際立たせた 彼女がクラスの中心になるのに時間は要らなかった 素行の悪い同級生等とは対照的 スミレの様に可憐で美しい才色兼備 祖母から貰った青い手鏡をいつも教室の中で 大事そうに眺めていたのも好印象だった だが「女の敵は女」とはまさにその通りだ 同級生は彼女の机に落書きをし晒し者とした 教科書の持ち去り、放課後の呼び出し 徐々にエスカレートする女どもの僻み 休み時間の度に浴びせられる罵声、恫喝 それでも彼女は泣かず手鏡を眺め耐え忍んだ ある日移動教室から戻ったら何故か彼女の席の床が光った 床が照射する太陽光。彼女は自らの目を疑いたかった 周囲に飛び散ったガラスの欠片。 彼女は最後まで泣かず・・壊れた 叫んだ。彼女の見た目から想像つかぬ金切り声 クラス中が彼女に向ける怪しみの目 それすらも嘲笑うかのように女子達が貶す 堪らず手鏡だった物を手に取り教室を飛び出し駆けた 無心だった。無心で階段を駆け上がった 許せなかった。この平穏な生活を変えた奴等 見てるだけの奴等、そして己自身が 「ごめんなさい」小声で言った 屋上の柵を越えた。ただ必死だった 空中で彼女は祖母に何度も謝罪した 握られた鏡に残ったのは乾いた血溜まりの染め色だった この話はやがて呪いの言葉として世へ広まった ムラサキカガミと。
スレッドへ
日間
週間
月間