コピー
▼本文
アーシェは赤面した。その理由は未尋が描いたであろうイラストにあった。 頭と下半身はクアンタ。両腕はエクシア。背中にはエクシアライザーと同じバックパックが描かれており、腰の部分には新しく2つのバインダーが備わっている。 極めつけに名前がクアンタシア・光輝と書かれていた。誰が見ても幸樹と光輝をかけたネーミングであるとわかってしまう。 「ちょっとぉ! なんなのよこれはっ!」 「何って、私と兎亜が考えたアーシェさんの新しい機体ですよ」 全く悪びれる様子もなく、というか笑いを堪えている未尋が言った。 「いや、これどう見ても私と幸樹の機体を合体させただけじゃないのよっ!」 「何か不満があるんです。アーシェさんは、先輩と合体したくないんですか? 色んな意味で……」 「い、色んな意味って何よっ!?」 「いやぁ〜ん。私に言わせないでくださいよぉ〜」 「いやぁ〜んじゃないわよっ! とにかく寄越しなさいそのスケッチブック……っ!」 アーシェは、未尋の手からスケッチブックを奪い取ろうと立ち上がり接近して手を伸ばす。が、未尋は器用に回避した。 「やれやれ人がせっかく考えてきたのに酷い言い草だよ……」 テーブルに肘をついた兎亜が、溜め息を漏らす。そんな妹の態度を見て幸樹は汗を垂らした。 「考えたって……お前、これ完全に下ネタじゃん」 「失礼なぁ……そんな卑猥な考えで生み出したんじゃないよ。ねえ、ミヒロ」 「うんうん。私達はお二人の為を思って30分で考えたんですよぉ〜」 「み、短いね……」 スケッチブックを奪い取ろうとしているアーシェに抵抗しながら、未尋は応えた。 クアンタシア・光輝が出来上がるのに要した時間が短くてかおるこは苦笑する。 「全然思ってないでしょ! 完全に私達をおちょくってるわよねぇ〜………」 「まあまあ、落ち着いてくださいよ。これはアーシェさんと先輩が2人で動かす機体なんですよ」 「へ……?」 未尋の発言にアーシェも目を丸くした。幸樹も動揺な顔をしている。 「ま、シュミレーターは二人乗りできるしね。アーシェは大会初めてだから、お兄ちゃんと一緒に居れば緊張しないでしょ」 「まさか……最初からそれが目的でこのデザインに……」 兎亜と未尋が頷く。彼女達がこの機体を考えたのは、ちゃんと意味があった。 真意を聞いたアーシェは、引っ張っていたスケッチブックからするりと手を離す。 「幸樹参加出来ないぞ……」 「「「「……え?」」」」 真矢の唐突な発言に、アーシェ。幸樹。兎亜。未尋が口をあんぐりと開けた。 「え……何でですか?」 アーシェが理由を聞くと………。 「だって、あたし達が出るのは『女子』大会の方だぞ」 「んなっ!?」 理由を知って幸樹は衝撃を受けた。女子大会……それはつまり女子しか参加できない。つまり男である幸樹は参加できないのだ。
スレッドへ
日間
週間
月間