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ドーム内部。受付エリアで縁が、生徒会メンバーに物騒な言葉を送っていた。 「あの、先生……もう少し言葉を選んでくれませんか。周りに他の人達もいますし……」 かおるこは周囲を見回す。ここには大会にエントリーする様々な人達がいる。 先程の縁の大声の発言は、当然聞こえていて、ほとんどこちらに警戒の眼差しを向けられていた。 「あたしらは毎年優勝してるんだ。優勝チームらしくドシッと構えてればいいんだよ。それに見ろよ。周りを……」 縁に言われ、全員が周囲をもう一度確認する。 警戒の眼差しのとは別に、敵意を剥き出しにして睨んでいる者がいくつかあるのがわかった。アーシェは生唾を飲み下す。 「な、何かこちらを凄く睨んでる人がいるんですけど……」 「あれはあたしらに負けたチームだ。今度こそ勝つ。って意思をこっちに送ってるんだよ」 「俺達……ほとんどのチームから標的にされてるんですね……」 幸樹は汗を垂らす。今回彼は参加出来ないので応援に徹する事に。そして彼らも……。 「うひょおっ! 女子がいっぱいっ! ここは天国かっ!!!!!」 「ねえ、こいつを連れてきたの間違いだったんじゃない………」 「仕方ないよ。呼ばなかったら後々うるさくなりそうだし……」 金次郎。奏恋。雅人も幸樹の誘いで応援に駆けつけてくれていた。 女子が沢山いて金次郎は興奮していた。周囲の女子達は全員。彼に汚物を見るような目を向けている。 「ま、それだけ私らが注目されてるって事だ……アーシェ。気を引き締めて行こうぜっ!」 「は、はい!」 真矢に軽く背中を叩かれる。これは彼女なりに渇を入れてくれたのだろう。 初出場で緊張するが、アーシェは最後まで頑張るつもりだ。 「あ、こんにちは。岩隈先生」 「ん、あぁ……あなた達も勝ち抜いて来たんですね」 1人の女性が歩いてくる。眼鏡をかけて、少しウェーブのかかった茶髪のショートヘア。縁とは正反対で温厚そうな雰囲気を醸し出している。 女性の背後に数人の少女がいた。その中にアーシェの見知った顔もある。 「あ。さやか、マミ」 「どもっ! 会えましたねアーシェさん!」 「文化祭ではお世話になりました」 文化祭で共に戦ったさやかとマミだった。そうなると彼女達は、見滝原中のガンプラファイト部のメンバーという事になる。 「ここにいるという事は、予選を勝ち抜いて来たのね」 「ええ、もちろん……あなた達を倒す為にね」 「ふふ、今日は敵ですよ。覚悟してくださいねっ!」 さやかは指を突き出して宣戦布告をする。 「ああ。文化祭で来てたね〜」 「アーシェの弟子ってお前か……お前、そんなたいして強くなかったよな」 「ちょっ! 刺さるような事を言わないでくれませんかねっ!」 真矢に図星を突かれて少し泣きそうになるさやか。確かに真矢相手だと勝てそうにないのが想像に難くはないが……それよりも気になる事があった。 「あれ、真愛先輩と真矢先輩ってさやかに会った事ありましたっけ?」 「文化祭の時にな、マミとは元々知り合いだし。こいつらがファイトを挑んで来たから私と姉ちゃんで相手をしたんだ」 「あぁ、それで……」 真矢の話で先程の言葉の意味が結び付いた。恐らく挑んだものの、負けたのだろう。
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