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負けて悔しがるさやかの姿が容易に想像できる。 「えっと、副会長……この子達は何者なんですか?」 奏恋が聞いてきた。彼女と金次郎。雅人は今日初対面となる。かおるこは説明を始めた。 「この子達は見滝原中のガンプラファイト部の人達だよ。つまり私達のライバルね」 「へえ、そうなんですか……中学生でもやってるのね」 「中学生。いいね! 年下もOKだよ俺っ!」 真面目に話を聞いている奏恋をよそに金次郎は、涎を滴ながら見滝原の部員達を見つめている。 「いや、流石にそれはやめなよ……」 「お前、捕まるぞ……」 「ふん! いいもん、捕まるならその前にデートしてやるもんっ!」 金次郎が意味のわからない事を言う。アーシェ達はドン引きした。見滝原の一同もドン引きする。 「って、この人……メイド喫茶にいた人ですよね。連れてきたんですか……」 「一応、幸樹の友達だから………」 「一応じゃねえよ! 親友だっ! 俺達はハートで繋がった親友なんだぜ!」 「気持ち悪い事言うなよっ!」 「ぬぉおおっ!」 金次郎がメイド喫茶に来ていたのを、さやは覚えていたようだ。 アーシェの口から出た「一応」単語に反応した金次郎が強く親友と主張する。主張し過ぎて幸樹からは気味悪がられてチョークスリーパーをかけられているが……。 「何かごめんね……」 「あぁ、いいっすよ。個性が強い人ですね……」 自分は悪くないが、アーシェは見苦しい物を見せてしまった事に対しての謝罪をした。さやかは首を横に振った。個性が強い人……彼女の中で金次郎を無理矢理そんな位置付けにする。他に言葉が見つからないから……。 「なあ、そいつがお前の師匠なの?」 いままで黙っていた見滝原メンバーの一人が口を開く。 ポッキーを口にしている少女は赤い髪をリボンで一つ括りにしている。鋭い目がアーシェを睨んでいた。 「そうだよ。杏子。この人がアーシェさんよ」 杏子という少女にアーシェを紹介したさやか。杏子はジーっとアーシェを見つめる。 「なあ、あんたは強いのか?」 「えっ?」 唐突に質問されてアーシェは面を食らう。 「ちょっと、あたしの師匠なんだから強いに決まってんでしょっ!」 「いや、強いとは限らないだろ。お前の師匠だし……」 「おい! 何かあたしの師匠だから弱いって聞こえんだけどっ!」 「うん、だってお前弱いじゃん」 「ひでぇっ!?」 仲間から弱いと言われ、さやかの心は傷ついた。 「杏子ちゃんだっけ、心配しなくてもいいよ。さやかちゃんは弱いかもしれないけど……アーシェちゃんは強いから」 かおるこにまで弱いと言われた。もう言葉にする事もなく、さやかは静かに泣いた。 「ほう……副会長さんが言うなら間違いないねぇ。これは楽しみだぜ」 杏子は口の端を上げて笑った。 「ねぇ……質問していいかなぁ………」 額から大量の汗を掻いている真愛。その視線の先はマミの背後に向けられていた。 「その子も部員の子かなぁ……」 「ああ、この子は……暁美ほむらさんって言うんですよ」 マミが横に移動すると背後にいた黒髪の少女の存在に気づく。ほむらと呼ばれた少女は頭を項垂れて立っていた。 「い、いたのね……気づかなかったわ」 「う、うん……マミちゃんの影に隠れて気づかなかったよ」
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