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背後から殺気を感じる。振り向けば、憎悪の眼差しを向けている金次郎がいた。 「別に……何でもねえよ」 適当に誤魔化した。本当の事を話したら、面倒になりそうだったので幸樹は話さない選択を選んだ。 「嘘だ! 絶対何かあっただろっ! 誤魔化しても騙されねえからなっ!」 だが、金次郎は引き下がらない。どうしようか幸樹が悩んでいると……。 「さぁ〜るぅ〜かぁ〜わぁ〜……」 怒気を孕んだ恐ろしき声が耳に届く。鬼の形相をした縁がこちらを睨んでいた。 その迫力に金次郎だけでなく、幸樹までも怯む。 「お前よ……こんな大勢がいる中でも騒がしくしてるのか、迷惑だからおとなしくしてろよ……次騒いだら、わかってるよな?」 「す、すいませんっ!」 金次郎は敬礼する。縁の前ではおとなしくしてようと心に誓った。 「す、凄いですね……岩隈先生……」 威圧だけで黙らせた縁を目の当たりにして、未尋は圧倒される。 「まあ、元暴走族のリーダーだけの事はあるわね」 「そ、そうだったんですかっ!」 「ふぅん、だからあんな迫力あるんだ」 奏恋の話を聞いて、更に驚愕する未尋。それに比べて兎亜は反応が薄かった。 「あ、そろそろ始まるみたいだぞ。生徒会の人達は……あそこにいるな」 雅人は会場に集まる予選を勝ち抜いてきたファイター達の中から、生徒会のメンバーを見つけた。 「頑張れよ。アーシェ」 幸樹はアーシェの姿を見つけ、その背中にエールを送った。
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