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◇ 『お待たせしました。これより第10回ガンプラファイト全国大会を開催しますっ!』 ステージ中央で派手な衣装の女性が、マイクを片手に全国大会の開催を宣言した。 彼女はこの大会のMCとして呼ばれた。結構有名らしいがアーシェは知らなかった。 「アーシェちゃん。アーシェちゃん……」 前にいるかおるこが、振り向いてアーシェの名前を呼んできた。 「何ですか?」 「今日は頑張ろうね!」 「はい!」 アーシェもかおるこも気合い十分だった。桜翠学園の連続優勝記録をここで止めるつもりはないが、アーシェは見てくれている幸樹に優勝する姿を見せたいと思っている。このプレゼントしてくれたネックレスのお礼として……。 アーシェは観客席の方を見た。沢山の人が来ているというのに不思議とすぐに幸樹の姿を見つける事が出来た。 (……ありがとう。幸樹。このネックレスの為にも絶対優勝するわ) ネックレスに触れる。これを握っていると幸樹の存在を身近に感じられる。彼がこちらを見ているかわからないが、彼に向かって優勝すると違って視線を再び前に戻す。 その後。MCからルールを一通り説明を聞いてからトーナメントの抽選が始まる。 抽選は、ステージ上にあるガシャポンのような装置で行われる。そして1番始めに引くのが前回で優勝したチーム。つまりは桜翠学園だ。 「よぉし、やるよ〜」 「任せたぜ姉ちゃん!」 「真愛先輩のくじ運を信じます」 「一発かましちゃってくださいね」 「任せて〜」 くじを引くのは、そのチームの代表。生徒会からは生徒会長の真愛が選ばれた。 『それでは、始めに桜翠学園の方々。よろしくお願いしますね』 「はぁ〜い」 MCに名前を呼ばれて真愛はステージ上に上がっていく。真愛の姿を見た観客の歓声が大きくなった。 これにはアーシェもびっくりする。 「え、いきなりどうしたんですか……!」 「おいおい、うちは優勝校だぜ。これくらいは当たり前だろ」 「あ、添うですよね……」 周りの歓声を聞いて、初めて桜翠学園が優勝校であると実感する。アーシェは幸樹だけでなく彼らの期待にも応えたいと思った。 「それじゃ行きまーすっ!」 真愛が装置のハンドルを回し始める。内部からガタガタと音がして、巨大なカプセルが出てきた。 真愛は取り出し口からカプセルを持ち、MCの側まで歩いて手渡す。 『えーっと、桜翠学園は……なんとっ。1番ですっ!』 MCが番号を高らかに叫ぶ。その数字は1。すなわちこの大会の最初の試合で早くも出番が回ってきたのだ。
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