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真ん中にいた少女がブンブンと手を振っている。 長い茶髪の髪を黄色のリボンで1つ括りにしているこの少女が2人の妹。真依であるとアーシェは直感した。 真愛と真矢も真依に手を振り返す。 「真愛先輩……あの子が真依ちゃんですか?」 「そだよ。可愛いでしょ〜」 かおるこに尋ねられたので、真愛はにっこりと笑って頷く。 「はい。そっくりですね。2人と」 かおるこは真依を見る。髪色と髪型が2人と似通っている。彼女が2人の妹だというのは見てすぐにわかった。 「ね、ねぇ……あれが真依ちゃんのお姉さん達なんだよね?」 「本当に桜翠学園のメンバーだったんだ……」 真依のチームメイトが震えた声で言った。彼女達は緊張しているのだ。 初めての全国大会で初戦の相手が毎年優勝している強豪だから……。 「そうっすけど、何でそんなに震えてるんすか?」 「いや、するでしょっ! 相手は強豪校だよ! 勝てる訳がないって!?」 「そんなのやってみなきゃわからないっすよ〜」 「……全くこの子は、恐れを知らないんだから」 真依の神経の図太さが時々羨ましく思うチームメイト達。自分にも別けて欲しいと肩を竦めた。 『それでは、ファイターの皆さんはシュミレーターに搭乗してください。まもなくファイトが始まります』 MCがもうすぐファイトが始まると告げる。 「そろそろか……じゃあ、乗り込むか」 「え、もういいんですか。まだ妹さんと話したい事があるんじゃ……」 姉妹が久々に会って交わしたのは手を振った程度。アーシェともっと話し合えばいいのではないかと言う。 すると、2人は……。 「私らはファイターだ。語りたい事はファイトでするさ」 「真依ちゃんもそれを望んでるからねぇ〜」 「そんな事言ってないのにわかるんですか……?」 「姉妹だからね〜」 「姉妹だからな!」 2人は声を同時に放っした。言葉にしなくても互いの想いが伝わる。そんな関係が少し羨ましいと思うアーシェなのであった。 全員。MCの指示通りシュミレーターに乗り込んで自分のガンプラをセットした。同時に内部に光が灯り。モニタ画面が映し出される。 (いよいよ始まるのね……) アーシェはヘッドギアを装着して操縦レバーを強く握る。緊張はするけれどこの大会を楽しみたい……それが今の彼女の本心。必ずあかりと全力で戦うという約束を守る為、この戦いを勝ち抜くと決めた。 『お互い準備はいいですね。それではーーー』 MCは大きく深呼吸をして肺に空気を送る。 『ガンプラファイトレディゴーっ!!!!!』 一気に貯めた空気を吐き出す。それがファイト開始の合図。ファイター達は一斉にバトルフィールドへとガンプラを発進させた。 どこまでも暗闇が広がる宇宙空間でファイトが始まる。
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