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◇ 「このっ! このっ!」 後方からエアマスターが射撃を行いながら追尾してくる。アーシェクアンタは回避をしながら前方に突き進む。 (デブリだ。これは使えるかも……) 前方にデブリ帯が見える。アーシェはこれを利用しようとアーシェクアンタの速度を更に上昇させてデブリ帯に突入する。 「デブリに逃げるつもり……させないよ!」 エアマスターもその後を追う。アーシェクアンタの方が速度は上。追いつく事は出来ないが、見えてさえいれば攻撃が行える。 それが後方に位置する者の利点だ。デブリの中では流れてくる隕石を避けながら進まなければならない。それ故にファイターは回避に専念する。前方と後方もそれは同様だが、後ろに振り向けない分。前にいるMSが不利だ。後ろを向いたままこのデブリ帯を突破できる相手はいない。 その点、後方は有利と言える。振り向く心配がなく攻撃が出来るからだ。その姿を見つけたらすぐにぶち抜く。そんな気持ちでアーシェクアンタの姿を探すが……。 「おかしい……見つからない」 アーシェクアンタの姿がどこにもなかった。エアマスターを停止させる。 「いったいどこに……」 「こっちよ」 「っ!?」 背筋が凍る。背後から対戦相手の声がした。 エアマスターが振り向く。そのカメラアイには巨大なデブリにピッタリと背中をくっつけているアーシェクアンタの姿がいた。 「まさか……デブリの影に隠れてっ!」 「その通りよ!」 そう。アーシェはデブリ帯に突入して間もなく、巨大なデブリを見つけてその影にエアマスターが通り過ぎるのを待って身を潜めていたのだ。 「くっ……!」 エアマスターがビームライフルを構える。 「遅いっ!」 相手が撃つよりも先にアーシェクアンタが動いた。GNソードをライフルモードに変形。引き金を引いて粒子を撃ち出す。 「ぐうっ!」 ライフルを撃ち抜かれた。ビームライフルが爆発を起こす。 「ま、まだライフルが一丁残ってるんだっ!」 エアマスターのライフルは二丁。まだ左手に握っている方は残されていた。銃口をアーシェクアンタに向けて放つ。 「てやぁっ!」 アーシェクアンタが紙一重でビームを回避する。高速で懐に飛び込み。エアマスターの左腕を切断した。 「くっ……このぉっ!」 エアマスターが右手で殴りかかってきた。アーシェクアンタは左腕のシールドで受け止める。 「せっかくここまで来たんだ。諦めるかぁああああっ!!!!!!!!」 エアマスターの少女がが思いをぶつける。全国大会に出るまで長かった……ここに来るまで幾度も敗けを経験した。漸く手にした全国大会の道……ここで簡単に勝ちを譲るつもりにはなれなかった。
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