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何度もシールドに拳を叩きつける。叩きつける度にマニピュレーターがひしゃげて形が歪んでいくが、その手を止めるつもりは彼女にはなかった。 その想いがアーシェにも伝わってくる。 「ここまで来るのに必死だったんでしょうね……でもっ!」 アーシェクアンタがシールドで拳を弾いた。 「っ!?」 「私にも負けられない理由があるのよっ!」 アーシェクアンタが鋭い突きを繰り出す。エアマスターの胸装甲に青い刃が貫通していた。 「う、あ………」 その一撃を受けた少女は確信した。自分の負けを……ここまでやって来たのに、最初の相手が優勝チームだなんて運が悪いのだろう。心が後悔と悔しさの念で満たされていく。 「大丈夫よ。あなたの頑張りは無駄じゃない……。あなたの分まで私達が戦うから」 「……え?」 アーシェの思いがけない一言に少女は目を丸くした。 モニタには、いつの間にかアーシェの顔が映っている。 「……ガンプラファイトは楽しむものよ。ここでそんな顔をしてはいけないわ。あなたの想い……私が引き継ぐから、笑ってちょうだい。可愛い顔が台無しよ」 「……はいっ!」 少女は笑った。名前を名乗ってすらいない自分の為にそんな優しい言葉をかけてくれたアーシェに安心感を覚えた。 彼女になら、負けてもいい。少女は最後にそう思った………。 アーシェクアンタがGNソードを引き抜き、エアマスターが爆散する。彼女の想いはここで潰えたが、アーシェの中に残り続ける。 「……やれやれ、らしくない事をしたわね」 と、アーシェは肩を竦めた。 「あかりの性格が乗り移ったかしら……」
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