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シュミレーター前で止まり、真剣な表情でさやかは真っ直ぐな瞳を向ける。 「そんな事。言われなくてもわかってるわ……。あなたは、出れないあの子の為に戦っているのだから、まどかの分まで活躍してもらわないと困る」 素っ気なく応えてほむらはシュミレーターに乗り込む。そんな態度の彼女に杏子は肩を竦める。 「相変わらず冷たいねぇ。さやかが珍しくかっこよく決めたってのに……」 「いいって、あれはあいつなりに頑張れって言ってくれたんだよ」 「ふぅん、幼馴染みだから相手の気持ちがわかるのか?」 「まあね」 と、さやかは苦笑する。ほむらとは長い付き合いだから、彼女の気持ちは少しわかるつもりでいる。 普段は自分に対して興味のない素振りを見せるが、結局は助けてくれる。不器用で優しい彼女をさやかは口にしないが信頼していた。 「頑張りましょう。この試合を見ている鹿目さんの為に……」 マミが寄ってきて、さやかと杏子の肩に手を置く。 2人は首を縦に振った。3人は、シュミレーターへと乗り込む。 ◇ 時を同じくして風邪を引いたまどかは、自宅のリビングでテレビ放送されている全国大会の様子を視聴していた。 パジャマ姿でボサボサなピンクの髪。額に熱冷まシートを貼ったまどかは虚ろな目をしていた。 「まどか……。いないと思ったらここにいたんだ。駄目だよ。部屋で寝ていないと」 まどかの父親が、リビングにやって来て娘の姿を見つける。 「ごめんね、どうしても大会が気になって……」 「だったら、横になって安静にして見ないと……。今、毛布持ってくるから待ってて」 「……うん、ありがとうパパ」 ソファーで横になるまどか。父親は毛布を取りにリビングを出ていった。 テレビに視線を向けると、自分の仲間達が映っている。 「皆、頑張って……わたしの分まで」
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