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◇ 東京のとあるアパートの一室で1人の少女が全国大会を鑑賞していた。 テレビに映るのは、真紅に染められた機体。あかりのダブルレッドである。 少女は画面に向けて手を伸ばした。自分も今頃はその場所にいたかもしれない……。けれど、今の自分はそこに行けない。彼女には全国大会に行けない理由があったのだ。 「けど、いつかきっと……」 いつか自分も全国大会へ行けると信じて、そこで親友と全力で戦える日がやって来ると信じて伸ばした手を拳に変える。 視線はテーブルの上に、そこには鉄血のオルフェンズ外伝に登場する主人公機ガンダムアスタロトのカスタム機が凛々しく立っていた。 ◇ 「……あ」 アーシェは控え室から、通路へと移動していた。ここなら今しがたファイトを終えた七森高校が通るからだ。そして彼女の予想通りに前方から七森高校のメンバーが歩いていく。 「あかり!」 「あ、アーシェちゃん!」 アーシェが名前を呼ぶと、あかりが顔を綻ばせて駆け寄ってきた。 「第1回戦突破おめでとう。かっこよかったわよ。あなたの新しい機体」 「えへへ、ありがとう。アーシェちゃんも1回戦通過出来てよかったね」 自分の愛機が誉められてあかりは喜ぶ。 「あかり〜。ひょっとしてその子が例の?」 後方から京子が歩いてくる。あかりは振り向いて首肯した。 「そうだよ。この子が桜木・R・アーシェちゃんだよ」 「へぇ〜」 京子はアーシェのある一点を見つめる。そしてにこやかに笑った。 「大変よろしい物をお持ちですな!」 「っ!?」 アーシェは京子の言葉の意味を理解し、顔を紅潮させて胸を隠した。 「お前は何を言ってるんだよ……」 「ぐはっ!」 結衣が京子の頭にチョップを叩き込む。 京子はその場でうめきながらうずくまった。 「全く京子先輩は……。初対面の人に向かって何を言ってるんですか……」 「はぁ……。こんなんで本当に部長が勤まってるわね。桜木さんだっけ。ごめんね、うちの部長が……」 「いえ、いいです……って、この人が部長だったの」 「そうだよ。この人が歳納京子ちゃん、前にも言ったけどあかりとは幼馴染みなんだよ」
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