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「極めつけは今回のバトルフィールドは森……こんな狭い空間じゃ、満足にご自慢の武器も振り回せないだろ」 「……確かにな」 今回のバトルフィールドは真矢にとって不利だ。考えなしにヒートテイルブレードを使えば、リードが木々に絡まって身動きが出来なくなってしまう。グフビースト最大の武器を封印されたようなものだ。 「でも、それだけで勝った気でいるのは大間違いだ。ヒートテイルブレードだけがこいつの武器じゃないぜ」 「追い詰められてるのに、まだ自信を失ってないみたいだな。けど、残念。いつまでもあんたに構ってる暇はないんだ。速攻で決めろってマミに言われてるからね」 スラスターの出力を上げて剛練が槍を構えて突撃してくる。 「あんたともっと戦いたかったけど、これで決めるよ!」 「へっ、だから……これで勝った気でいるなよ!」 真矢は操縦レバーを強く握った。 「行くぜ。グフビースト! ビーストモードだっ!」 真矢が吠える。グフビーストの両肩の装甲が外れて地面に落ちた。 「何で装甲をパージなんか……。えっ!?」 杏子は目を見開いた。目の前にいた筈のグフビーストが一瞬で姿を消した。 「こっちだ!」 「っ!?」 背後から真矢の声。だが、振り向くより先にグフビーストは剛練のスラスターに爪を立てた。 「うわっ!」 斬り裂かれたスラスターから火を噴き上げ、制御が効かなくなり剛練は地面に激突した。上体を起こす。振り向けばそこにはカメラアイが赤く発光したグフビーストがいた。 「なんだそりゃ……。そんなの聞いてないんだけど」 「こいつはビーストモード。グフビーストの性能を上昇させるシステムだ。奥の手ってところで使うつもりはなかったんだけどな……」 「あはは、そんな隠し玉があったなんてね。やめだ……速攻で倒すのはもったいない!」 剛練が立ち上がって槍を投げ捨て両手にナックルガードを装備させる。 「マミには悪いが、この戦いを楽しまさせてもらうぜっ!!!!」 接近して剛練は拳を突き出す。 「遅いっ!」 その一撃を避けて剛練の胴体に爪を突き刺す。そしてそのまま力任せに装甲を引き裂いた。 「悪いが、畳み掛けてもらうぜっ!!!!」 「くっ!」 高速で両腕を振り回して剛練の装甲を引き裂いていく。 「ここまで性能が跳ね上がってるとは、エクザムシステムかトランザムの類いか……。けど、こんなところで退く訳にはいかないんだよ!」 剛練は渾身の一撃を放った。ガンっ、と鈍い音と共にグフビーストの頭部がへこむ。 「なんで避けない……?」 「ここまでガッツのある奴の一撃を受けずに勝つなんて、相手に悪いだろ……いいパンチしてるじゃねえか」 「へへ、だろ?」 「面白かったぜ。またファイトしような!」 真矢は満面な笑みを浮かべながらグフビーストは最後の一撃を突き立てる。剛練はその一撃をもって機能を停止させた。
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