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目に移る特大の奔流。それは味方のものではないとすぐにわかった。 もしかしたら、あの攻撃で仲間が1人やられた。そんな嫌な予感を感じてしまう。 「いやいや、まさか……」 頭を振って嫌な考えを吹き飛ばす。そして仲間へと連絡を入れた。 「杏子。そっちはどうなってんの?」 先ずは杏子に連絡を取った。しかし反応がない。 「何やってんの。あいつ……。まさか、ね……」 不安が一気に募る。試しにほむらとマミに通信を送ったが彼女達からも反応がなかった……。 「……マジかよ」 いよいよ嫌な予感が現実を帯びてきた。仲間からの通信が返ってこない。それはつまり自分以外負けたという事を意味する。 「ボーッとしてどうしたのよ?」 アーシェが声をかけた。攻撃の途中でRギャギャ・Sカスタムの動きがおかしく見えたから、気になったのだ。 そのまま攻撃しても良かったのだが、アーシェはその性格上。棒立ちの相手を攻撃する事は出来なかった。ましてや、さやかは自分の弟子なのだから師匠として、何か声をかけなければならないと感じた。 「あ、いえ……その。皆、やられたみたいなんですよ」 「……そう」 アーシェは短く返す。なんとなくそんな気がしていた。いくら対策をしていたとはいえ、幾つもの戦いを制してきた桜翠学園がそう易々と負けはしなかった。 マミの想いもわかるが、こっちも優勝校のプライドと意地がある。ここで負ける訳にはいかない。 「……で、あなたはどうするの?」 「え?」 アーシェの問いにさやかは目を丸くする。 「どうするって?」 「決まってるでしょ。このまま戦うかって事よ」 「そ、それは……」 さやかは戸惑っている。それもそうだ。残っているのは自分1人……このまま抵抗しても他の仲間が来たら勝ち目はないのだから。 「あなたはそれでいいの。マミは……先輩達の為に優勝しようって気迫でこの大会に挑んだのに、諦めるの?」 「し、仕方ないじゃありませんか、だって……こんな状況じゃ。戦っても勝ち目はないですよ……」 明らかな戦意喪失の発言。さやかには戦う意志が感じられない……。 それを聞いてアーシェは深い溜め息を吐いた。そして、眉を吊り上げてさやかを睨む。 「しっかりしなさいっ!」 「うわっ!?」 アーシェに怒鳴られ、さやかの心臓はビクン、と跳ねた。 「マミはあらゆる手を使って勝とうとしたんでしょ。なら……彼女が最後の1人となったとしても、諦めずに立ち向かって来たでしょうね。それこそ、自分1人で私達を倒すつもりでね……。あなたにはそんな度胸がないのかしら?」 「……あ」 アーシェの言葉を聞いてさやかは思い出した。それは大会が始まる1ヶ月前の事。 ◇ 「皆、話があるんだけど……」 部室でマミが全員を一瞥して口を開いた。そこには今、大会に出ていない鹿目まどかの姿もある。 「どうしたよ。改まって?」 椅子に腰かける。杏子がお菓子を一口頬張って首を傾げる。 「ええ、大会について……もう一度話そうと思ってね」
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