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「今更ですね。他のチームのデータを収集し、対策を頭に叩き込んだ私達に……これ以上何を話す必要があると?」 自分のガンプラをカスタマイズしているほむらが言う。 「そうね。万全の対策をしたと思ってるわ。でもね……それでも一筋縄じゃいかない相手もいるわ。桜翠学園とかね」 桜翡学園は自分の悲願を達成させるには最も大きな障害となる存在。対策を練ったとしても簡単に勝てる相手ではないとマミも思っている。 自分の手に視線を落とし、強く力を込めた。ここから先が……マミの皆に伝えたかった言葉。顔を上げて皆に真剣な表情で向き直る。 「桜翠は簡単に勝てる相手じゃない。もしかしたら……追い詰められて1人になってしまうかもしれない。それでも忘れないでほしい……戦う事を……」 マミは自分の胸に握った手を押し当てる。 「最後まで諦めなければ……必ず勝機はあると思うから、絶望的な状況でも諦めないでほしい。かつての先輩達がそうであったように……」 マミの言葉に場が静まった。場の空気が凍りついたのではなく、全員真剣に彼女の話に耳を傾けていた。 彼女が先輩達に勝利を捧げる為にいままで頑張って来た事を皆知っている。彼女の胸に宿る闘志が全員に伝わった。 「あはは、そうですね。卒業してった先輩達にあたし達が優勝する姿を見せてやりましょうよ!」 1番最初に口を開いたのはさやかだった。 「そうすれば、少しは浮かばれますよ。その為なら……あたしは例え最後になったとしても全員倒す覚悟で挑みますよ」 「ふふ、頼りにしてるわよ」 「つってもなぁ。あたしら先輩の顔知らないし。あまり乗り気にならねえんだよな」 「右に同じく……」 「も、もう話の腰を折っちゃダメだよ2人ともぉ〜」 「そうだそうだ。謝れ〜!」 余計な事を言った杏子とほむらに文句を言うさやか。 その後。色々と騒いでいたがさやかは思い出した。 マミに最後まで諦めずに戦うと……。そう約束していたのに忘れていた自分に恥じる。だが、もう忘れるつもりはなかった。 ◇ 「あたし……バカだ。肝心な事を忘れてた」 吐息を漏らし、自分の顔を叩く。弱気な自分を吹き飛ばした……。再び操縦レバーを強く握りしめた。 「アーシェさん。ありがとうございますっ! おかげで大切な事を思い出せました!」
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