コピー
▼本文
マミと協力して、廃工場から脱出した後、よまわりさんがあたしたちの前に現れた。 今度はよまわりさんは、あたしたちをさらうこと無く、すぐに姿を消した。残ったのは一枚の紙切れ。 クレヨンで書かれた何処かの風景と、『たすけて』の文字。モモの字だった。 マミ『これ、もしかして…』 杏子『知ってるのか!?』 マミの案内でやってきたのは、見滝原市にできたばかりのデパートだった。 最上階に行くと、そこにはあたしの家族と、 『■■■■■■■■ッ!!』 身の毛もよだつ化け物がいた。 杏子『てめえが……てめえがあたしの家族を!』 でもあたしは怖くはなかった。マミがいたし、何より、家族を助けないと、それしか頭になかった。 だけど、 杏子『ッ!?』ハッ マミ『佐倉さん、どうしたの!?』 戦ってる最中に気づいたんだ。 杏子『こいつ、魔女でもおばけでもねえ! こいつは』 見滝原の土地神だった。 QB『そう言えば、このデパートは元々、ここにあった神社を取り壊して建てられたものだったね』 信仰を失い、居場所まで奪われた神の怒りと悲しみ。状況を理解してしまったあたしに、土地神の思いが押し寄せてきた。 『嫌だ、嫌だ、嫌だ。消えたくない、消えたくない、消えたくない』 『どうしてこんな目にあわねばならない。土地を豊かにしてほしいと願ったのではなかったのか。土地を潤してほしいと望んだのではなかったのか』 『そのためにこの地に迎え入れたのでなかったのか』 『願いをかなえたではないか。望みをかなえたではないか』 『これからもずっとおまえたちと寄り添い、共にあり続けると思っていたのに』 『願いがかなったから、望みがかなったから、捨てるのか』 杏子『…!』 やっぱりというか、この世のものの声じゃなかった。聞いてるだけで何処かに針が刺さったかのような感覚に襲われる。
スレッドへ
日間
週間
月間