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【第4章 旅立ち】 紫苑『さて、ゆくか。』 あれから渋々輪廻がついていくことを決意し、一旦別れて身支度をしている俺。いつもの赤いジャケットに灰色の長ズボン、青いハチマキを身につけて、腰には神剣をつけ、リュックに飲み物と食料、傷薬を入れて担いだ状態で家を出る。 紫苑『すげぇ燃えてんなぁ。』 家を出ると未だに燃え続ける王宮を見て拍子抜けたように言った後、王宮を背に城門の前に足を進めると、俺の姿を見るなり片手で杖を持ってローブを身につけ、先に待ってた輪廻が手を振って迎えた。 輪廻『遅いよ朝倉!こっちの準備は随分前に終わってるよ!早くしないと見つけられなくなるよ。』 紫苑『わりぃ、遅くなった。』 輪廻から指摘され、俺は一言告げる。彼女の指摘の後の言葉に、案外やる気はあるのだろうと思い、俺は少し安心した後、息を吸ってこう言った。 紫苑『我が国の平和と自由のため、いざ行こう!』 全ての民に聞こえたかどうかはわからないが、少なくとも近くに居た人々には僅かな勇気と希望を与えたかもしれない。 そして、旅は順調に始まった、と思ったのだが... 〜1時間後〜 輪廻『ふぁぁ、お兄さん、疲れて眠たいよ。』 足跡を辿り続けて1時間、早くも輪廻に疲れと眠気が来たらしい。眠たそうに言って来たことに対し俺はこう返した。 紫苑『まだ旅は始まったばかりだし、夕方にもなってないんだぞ?少しは我慢しろよ。』 呆れて言えば、とんでもない事を輪廻が口走った 輪廻『僕をおぶって連れてっておくれよ。僕寝るからぁ...』 紫苑『ま、待てよ、起きろよお前!しゃーねぇなぁ。』 輪廻がそう言えば俺は怒り、揺さぶるも、とても強い眠気だったのだろう、こちらの発言無視で眠りについた輪廻。 仕方なく身につけてたリュックを輪廻の背中に付け替え、輪廻を背におぶって再度、足跡を辿るように足を運ぶ。 【更に1時間後】 紫苑『はぁっ、俺も、疲れた!』 あれから揺さぶっても起きない輪廻に諦め、渋々歩き続けるも俺は息を切らし、近くにある木に足を運ぶと、眠る輪廻を降ろしてからドサッっと座り込み 紫苑『俺も疲れた、てぇ...の...』 声がだんだんと小さくなってゆっくり目を閉じればうつらうつらとなり、しばらくすると深い眠りについてしまったのである。
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