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刀の届け先を、うっかり忘れる。 お陰で歌仙に会えたが、有堂とかいう外人もどきにも会っちまった。 あの野郎、奈緒に手を出そうとしやがったただけでなく、歌仙にまで…。 惚れただ何だと浮かれ騒ぐ前に、本命の尻尾をガッと掴んどきやがれってんだ。 それと、どうやら俺は歌仙に惚れているらしい。 アイツがどこの馬の骨とも知れんヤツに持ってかれんのは、どうにも我慢ならん。 もしかして俺はアレか、面食いってヤツか? 何ともしまらん話だが、惚れたもんは仕方がない。 何だ、認めちまえば案外すっきりするもんだ。 正親さんは、いったい何を考えているのか。 御堂を俺から引き離し、俺の手で葬らせ、いったい何がしたかったのか。 美作らに言わせりゃ、俺を縛り付けときたかったらしいが、結果里から出ることになった。 俺にはもうあの人が分からん。 最近、蓮のヤツがイジメを受けんようになったらしい。 やはり原因はあのガキだったようだ。 自分の不幸を何かのせいにしたいのは分かるが、それで周りに当たり散らしても解決にはならんだろうに。 男ならぐだぐだやってねえで、打開策を考える努力をしろ。 ガキだろうと何だろうと、男が甘えてられんのは、親の乳が飲めるうちだけだ。 巫女姫から呼び出しがくる。 今回長くかかるらしい。 蓮の面倒は美作に任せてあるし、何かあれば歌仙が何とかしてくれるだろう。 俺の居ん間、奈緒と歌仙が危ない目に遭わなけりゃいいが。 想いを残したまま、離れたかねえな。 まったく、らしくねえ感傷だ。
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