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「……え?」 ちなつは目を見開いた。自分に対して嫌みしか言ってこないうまるが、賛美の言葉を送ってきたからだ。 うまるは穏やかに微笑んでいる。それ以上は何も言ってこなかったがちなつには充分過ぎる言葉だった。 「あの、よかったらこれを使ってくださいッス」 真依がスカートのポケットからハンカチを取り出して差し出してくる。 ちなつは素直に受け取ると涙を拭いて真依に返した。 「みんなありがとう……ごめんね。心配かけちゃって……」 「いいよ。ちなつちゃんがこうして無事に見つかったんだからね」 「わたしが可愛いちなつちゃんをほっとけるわけないじゃ〜ん」 「口喧嘩出来る相手がいなくなるのは寂しいからね。それより立てる?」 うまるが手を差し出すとちなつは首を横に振った。 「大丈夫。一人で立てるから……あかりちゃんありがとう。もう平気だから」 あかりは首を前に倒す。ちなつから手を離すとゆっくりと立ち上がった。 「……戻ったら先輩達にも謝らないと、心配かけただろうし」 「その方がいいよ。みんな心配してたし、特に結衣ちゃんが」 あかりも立ち上がって言葉を発するとちなつは言葉を詰まらせる。そして大きな溜め息を吐いた。 「あぁ、わたし結衣先輩に迷惑かけて……何やってんだろう」
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