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あおばは驚いていた。あおいはこれまで対戦相手の名前など覚えることはなかったのにこうして、名前を呟いたのだから。 「……そ、そう。そんな名前だったのね」 どういう心境の変化が気にはなったが、それを聞くのが怖かった……あおばはすぐに別の話題に変えようと続ける。 「次の試合がまだ先とはいえ、あおいはどうしてここにいるの? 気になる相手でもいるの」 「……あの子」 と、あおいは静かに応える。その視線の先を追うと赤いパーカーを着た少女がシュミレーターへ歩いていく姿が見えた。 「あの子……? あの子は二度もあなたに負けた相手よ。そんなに気になるの……」 あおいはこくり、と頷く。その反応にあおばは目をぱちくりとさせた。 「気にする必要はないわよ。あの子は強いかもしれないけど……あなたに勝てる相手とは思えない」 「それはわかってる。私は誰にも負けるつもりはないから……」 「なら、Bブロック会場にーーー」 「……それでも見ておきたい」 あおばの言葉を遮ってあおいは続けた。 「自分でも、どうしてそう思ったかわからない……ただ。あの子と赤座あかりの戦いは見てみたい。そう思ってる」
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