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あおばは口を開けたまま硬直する。あおいに一度も意見などされたことがなかった。 いつも自分のお願いを聞いてくれるが、今初めて言うことを聞かなかった。 「あ、え……?」 あおいの微妙な変化にあおばが戸惑っている。可愛い妹がここに居たいと言っているならそうしたいが、本当にそれでいいのかと自身に言い聞かせる。 これ以上何か変な影響を受けてしまえばあおいまでーーー。 「ん?」 誰かが駆け寄ってくる足音が耳に届き、あおばは考えるのを止めて振り向いた。 「いた。あおい見っけ!」 と、現れた少女はあおいの姿を見るや、駆け寄ってきて彼女の背中に抱きつく。 最初は何事かと驚いて目を見開いたあおいだが、少女の顔を見てすぐに表情を戻した。 「……ユウキ」 あおいは少女の名前を言う。その少女はBブロックで結衣と戦った緑谷ユウキだった。 「もう……探したよ。すぐにどっか行っちゃうんだからぁ」 「……ごめん。見たい試合があったから」 「へえ、そうなんだ。あ、そうだ。ねえねえ、ボクの試合見てくれた!」 「見てない」 「嘘ぉっ!」 「……私は嘘つかない」
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