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うまるは漸く思い出した。少女をよく見ると、アンゴラウサギを頭に乗せていた少女と同じ店の制服を着ている。 「その喫茶店って、確か2人が行ったウサギが大量にいる喫茶店だよね!」 「いや、1匹だけって言ってたじゃないですか……。捏造しないでください」 「うう……そんな事言わないでよぉ……」 そんなにウサギが1匹だけなのがショックなのか、あかりに捏造を正されたかおるこは肩を落とす。 「そっか、あの店で働いてた子か……。あれ、でも……この子途中から居なかったような……」 うまるは記憶の引き出しを開けて、喫茶店に入った時の事を思い出す。 最初に入って声をかけてきたのは彼女だが、その後の事は彼女が何をやっていたのか全く思い出せない。 「実は、あの時考え事しててお店の隅でボーッとしてたんだよねぇ〜」 「いや、接客業やってるんだからそれは駄目でしょ」 後頭部を掻いて苦笑いをする少女。うまるは頬に汗を垂らしながら呆気に取られていた。店の隅にいたなら気づかない筈だ。 「むう。わたしだってちゃんと考えてるんだよぉ〜」 と、少女は頬を膨らます。 「あの、もしかしてその考え事とわたし達を尾行していたのは関係あるんですか?」 まどかはその話が関連性があるのかと聞くと、少女は目をぱちくりとさせて振り向いた。 「おおっ! よくわかったね。あなたひょっとして探偵さんかな!」 「いえ、違います。ごく普通の中学2年生ですよ」 「2年生かぁ……。チノちゃんの1つ下だね!」 (チノちゃんて誰だろう……) 彼女の口から、唐突に出てきた名前にかおるこは首を傾げる。 「ひょっとして、頭にアンゴラウサギ乗っけてた子?」 「うん、香風智乃ちゃん。わたしの自慢の妹なんだよ」 と、胸を逸らして自慢気に言う。次に彼女はうまるに視線を向けて口を開いたの。 「実は……わたしの考えてた子ってチノちゃんの事なんだ……」 「そうなの、もしかして喧嘩しちゃったとか?」 少女の悩みは妹のチノとの喧嘩によるものではとあかりは考えたが、彼女は首を横に振った。 「違うよ。仲は良いよ。ただあまりあのお店に人が来ないから……どうやったら繁盛するのかいつも悩んでるの」 「そうなんだ。中学生でお店の繁盛を心配するって……」 初めて会った時から大人びているなぁとうまるは感じていたが、そのイメージはより強くなった。 「それで……お姉ちゃんとして何か手伝えないかなって悩んでた時に、この2人が気になる事を言ったの『大会』とか、『全国に中継』されるって」
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