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(……なんだろう。この胸にある暖かな気持ちは……) あおいは不思議な気持ちに包まれていた。息を整えながら瞼を閉じて胸の鼓動を感じる。 「あおいちゃん!」 再びあかりに名前を呼ばれる。あおいは瞼を開いて前方を見据えた。 「もっと楽しもう。全力で!」 相手の顔が見えないのに、何故だかあかりが笑顔を浮かべてその言葉を言ったのがわかった。 そしてあおいは実感した。自分と対等に戦えるこの少女とのファイトを楽しんでいると、自分でも知らない内にそれを告げられていた。 もっと彼女と楽しみたいと。 「……うん!」 ファイトの楽しむあかりに応えるようにあおいはいままで見せたことのない笑顔で返した。 「フフ、あおいがあんな表情を見るの……初めてかも」 あおばは驚きつつも、あおいの初めて見せる年相応の笑みを見て安堵する。 「あまり表情に出さない子だったけど、あの子の今の表情輝いてるわね」 「ええ、あかりちゃんのお陰ね。あの子が真っ正面からあおいとぶつかってくれたから……」 隣のあかねの言葉に耳を傾けながら、あおばは目を細めて二人の戦いを見つめ続ける。
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