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ポツリと呟くあおい。初めての敗北だが悔しいという感情は沸いて来なかった。むしろ全力を出して戦えたことに満足していた。 「あ、え……あかり。勝ったの?」 一方のあかりはモニターをマジマジと見ていた。僅かに残るダブルオーライザーの耐久値が自分の勝利を物語っているが、いまだにその現実を夢なのかと思っている。 「あかりーーー!!!!」 「うわっ!?」 背後から京子に抱きつかれ、あかりの心臓は跳ね上がる。 「わ、わう……きょ、京子ちゃん!」 「優勝おめでとう! やったなあかり!」 手を肩に置いたまま、身体を離してあかりの目をまっすぐに見ながら京子は言った。 そう告げられて漸くあかりは自分が勝ったのだと実感する。 「あはは、あかり。本当に勝ったんだ……」 「何? わかってなかったの」 京子と同じタイミングでシュミレーターに入ってきていたうまるが肩を竦めた。 「う、うん……気が気じゃなかったから……」 自分のこめかみを掻いてあかりは苦笑する。そんな彼女にうまるは手を差し伸べた。 「ほら、いつまでもこんなところにいないで出ようよ。皆優勝者が来るのを待ちわびてるよ」 「うん」 あかりはうまるの手を掴む。 「ささ、早く行こうぜ!」 「きょ、京子ちゃんお、押さないでよ!」
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