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ピピーピン レーダーが若い男を捉えた音だ。 小郡に辿り着いたおまつは灰色の学生服を着た二人組の男に目を留めた。 一人は妙に痩せこけた男だった。 ライブラリー検索をする。 ジジジ、ピン 「ベース、必死ー、2016ネン、ヘリオスヒットチャート1位、肺ニケッカンアリ」 「こいつはダメだな…」 その横を歩くもう一人の男に目を移したおまつは驚いた。 「あれは…博士…?」 男は藤沢に良く似て見えた。 ライブラリーに繋ごうとしたおまつは聞き慣れた声に耳を澄ます。 「おまえ、どこ受けると?」 藤沢の声にそっくりだった。 「福大」 必死ーが答える。 「俺も福大受けるぜ、一緒に行こうや」 「バンドどうする?」 「来年はナベが受験やけんね。一年はできんやろうけん軽音楽部にでも入ろうや」 「おう」 ライブラリーは藤沢に似た男を検索していた。 「一発F野、維新's、モノリズム、ヘリオスヒットチャート21位、未来への影響、、、皆無」 人造人間おまつの目からは流れるはずのない涙が流れていた。
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