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「くっ……馬鹿にしてぇ。絶対優勝してやるんだからなぁっ!」 捨て台詞を吐いて京子は勢いよく部室を出ていってしまった。 「京子ちゃん!」 あかりは京子が出ていったのを見て、鞄を手に立ち上がる。 「ごめんね。あかり……京子ちゃんを追いかけるね!」 結衣とちなつに伝えてからあかりも部室を飛び出して行く。 「あかりちゃん……! せ、先輩どうします?」 「あかりが探しに行くなら大丈夫だよ。京子も本当に突拍子もない事を言うよな。これに懲りて少しは頭を冷やしてほしいんだけど」 「……そうですね」 そう言いつつもちなつは心配そうに襖を見つめていた。 京子の頼みを断ったのに少しは悪いと思っている……だが、結衣の言っているのも事実なので素直に首を縦に触れなかった。 今は、あかりが京子を見つけてくれる事を切に願っている。 ◇ 「京子ちゃんどこに行ったんだろう……」 京子探索から数時間が経過した。 学校を探したが彼女を見つける事が出来ず、校内に残っていた友人達に聞き込んで学校の外へ走り去っていた姿を見たという情報が入り。あかりも学校を出て京子の行きそうな場所を探す。 (ここにはいないかな。お母さんが買い物でよく来てる場所だけど……) あかりが今来ているのはあかりの母が御用達にしている商店街だ。 作りが古い物や真新しい建物まで様々な店がここには並んでいる。 「あれ?」 あかりは足を止める。 前方に京子らしき後ろ姿が店に入っていく所を見たからだ。 「間違いない……京子ちゃんだ!」 あかりはすぐさまその店に駆け寄っていく。 店の前で止まり。上を見上げて店の名前を確認する。 「月光蝶……?」 店の名前を口にする。 比較的新しい作りの店だが、名前だけではどんな店かわからない。 勇気を出して中へ足を踏み入れるあかり。
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