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先輩の部屋にはオカルト関係のアイテムが数多く置かれている。学生の癖に何処からこんな物を集めて来るんだと聞いたら、結構あっさり種明かしをしてくれた 「知り合いの伝を頼りに曰く付きの品を処分代わりに格安で貰ってるんだ。まあ、大した物じゃないよ」 つまり、これらは本物の呪いのアイテム……と、言う事か 「……あの……お祓いとかは…したんですか」 恐々と辺りの品々を眺めながら尋ねる。先輩は頬を掻きながら 「知らない」 と、答える 知らないって。よくそんなのに囲まれながら生活出来るなこの人は 呆れと感嘆が織り混ぜになった複雑な感情が沸き起こる 「さて、そろそろか」 時計を見る。20時、出掛けるには良い時間という事だ その日、案の定怖い目に遭って深夜0時頃に部屋に戻る。僕は精神的に結構疲れていたし、今から帰っても迷惑になるだけだ 「泊まってくか?」 「はい」 ここは、先輩の好意に甘えよう 布団に入ると直ぐに眠気が襲ってくる、右に並んで眠る先輩も同じようで静かな寝息が聞こえてきた 何かの気配を感じた気がして目が覚めた。室内はまだ暗く寝てからそんなに時間が経っていないように思える 天井をぼんやり眺めていると、左目の端で何かが動いた 先輩も起きていたのかと思い、彼女が寝ている方を向く そこには、まだ。寝息を立てている先輩の姿があった 頭の後では再び何かが動く気配がする。誰かいる…… 何者かは室内を彷徨い歩いていた。泥棒……変質者だろうか。兎に角、このままじゃヤバい そう思い、飛び起きようとした瞬間。腕を掴まれた 「動くな」 小さいが先輩の声だ。起きていたのか 部屋に侵入した何者かは先輩の声に反応したのか振り向いた気配がする ヤバい、気付かれた 僕は思わず身を硬くした、だが。その何者かは僕達に何をするでもなく玄関に向かい、ドアを開けて出ていった 「ふう、ビビった」 先輩は身を起こし息を吐く。嫌にのんびりとした仕草だ 「何、呑気な事言っているんですか! 警察に連絡しましょうよ!」 僕は携帯に手を伸ばす、だが、先輩に制された 「無駄だ。玄関を見てこい」 え? と、思い、言われるがまま玄関に向かう 鍵もチェーンも掛かったままだった 「あれは生きてる奴じゃない」 怖かったなあ。と、先輩は笑いながら言い、布団に潜り込む 僕は、寝る気にもなれずに部屋の中にあるオカルトアイテムを眺めながら朝を待った 「ここには霊道が通っているんだ」 朝食を食べつつ昨夜の事について聞くと。先輩はそう言った 「ここって……この部屋にって事ですか? 先輩は頷く 「ああ、2、3ヶ月に何回か霊道を通って部屋の中に入って来る奴が出るんだ。だから、この部屋も格安なんだよ」 いい部屋だろ? と、彼女は笑っていた よく、こんな部屋に住めるな…… 昨日、沸き起こった呆れと感嘆が入り交じった複雑な感情を。僕は再び感じていた
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