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それから三十分後。三人は病院から程遠くない河川敷にやって来ていた。 さやかは既に恭介を電話で呼んでいる。後は彼が来るのを待つのみアーシェとかおるこは、少し離れたところからさやかを見守っている。 「何か……凄いことになりましたね」 「だね。でも、学校外のことであっても悩みを聞いて解決するのが桜翠学園生徒会だよ」 「他校の生徒でも受け付けてるんですね」 「うん。真愛先輩はよくやってるよ。他校の子の恋愛相談を受けたこともあるんだよ」 「す、凄いですね……」 他人の恋愛相談をも受けるという真愛。ひょっとしたら……自分と幸樹もーーー。 「はっ!? な、何を考えてるのよ私はっ!?」 頭を振って考えを吹き飛ばす。今のはきっと嘘だ。幸樹を好きだなんてあり得ない……彼は、二度も現国で自分を負かした憎きライバルだとアーシェは言い聞かせる。 「もしかして……自分とさやかちゃんを重ね合わせちゃった?」 「っ!」 かおるこに言われ、アーシェの心臓が跳ねる。 視線を向けるとかおるこは、愛娘を見守る母のような瞳でアーシェを見据えていた。 「わ、私は……そんなんじゃ」 「そうかな。さっきのさやかちゃんに向けて言ったアーシェちゃんの言葉……自分に向けて言ってるようにも聞こえたけど」 「……それは」 本当に自分は幸樹に恋をしているのだろうか……アーシェは自分の気持ちがわからない。どう答えるべきかわからなかった……。 「……あ」 視線を少し上に上げた時。さやかに近づく少年の姿が目に入った。 「かおるこ先輩……ひょっとしてあの子が」 「え、あ、本当だ。見滝原の制服着てるね」 かおるこは少年に視線を向けた。意識がそちらに向いてアーシェは内心ホッとする。
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