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「恭介のことが好きなんだ!」 想いの限りを叫んだ。今は顔が真っ赤になっている。 逃げ出したい気持ちを必死に押さえて恭介の顔を見据えた。一方の彼は突然告白されて面食らった表情をしていた。 「好きって言うのは……その、そういう意味の好きってことだよね?」 「そ、そうだよ……他に何があんのさ」 「そ、そうだよね……」 さやかの本心を聞いて恭介は頬を染めてこめかみを掻く。恥ずかしそうに彼女を見やると口を開いた。 「えっと、さやかの気持ちは凄く嬉しいよ」 「じゃあ!」 さやかの表情がパッと明るくなる。彼は嬉しいと言った。これは彼女の望む展開になるかもしれない。 「でも、ごめん……君の想いには応えられないよ」 「……え」 恭介はさやかの告白を断った。天国から地獄に突き落とされた気分だ。 「君の想いは嬉しいよ。でも、僕は君を幸せにする自信がない……今の僕の頭の中は、バイオリンのことしかないから……今はそっちを優先したいんだ」 恭介は将来を有望されているバイオリニストでもある。その肩には両親の期待を背負っているのだ。 今は真剣に音楽に打ち込みたい。色恋沙汰にかまけている余裕はない……。 「そっか、そうだもんね……」 さやかはくるりと回って恭介に顔を背ける。 泣いてる顔を視られたくないから……。
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